2013年以前のブックレビューも随時追加中

いつも同じお題なのに、なぜ落語家の話は面白いのか 立川 談慶(大和書房)

1.話が面白いとは
(1)話し上手(話題が豊富)の人はただの情報通になってしまいがち
(2)話題や知識のひけらかしでなく、話の「間」がある人がよい
 流暢さよりも、たどたどしくともひたむきに率直に述べたほうがよい
(3)自慢話は面白くない
 スキがなく自己完結の閉じた話のため、聞いていてもただ息苦しい
(4)面白い話には勝敗もなく、結論も必要ない(仕事やディベートではないのだから)
(5)会話に必要なのはラリー
 ①いきなり自分からスマッシュを打っては(=結論を話して終わりにしては)いけない
 ②キラーパスを出して、最後は相手にゴールを打たせるような包容力(受け止め力)が一番大事


2.受け止め力(聞く力など)
(1)聞く能力
 ①受け身、消極的でなく攻めるように聞く
 ②相手の話が感情の(精神的)老廃物である自慢、悪口、愚痴であっても、一旦は受け止めてあげる
(2)相槌力
 ①同意(一番多い相槌)
 ②疑問(聞き返して同意する)
 ③言い換え(たとえ話で互いの理解を深める)
 ④軽い否定(相手の自虐に対しては否定してあげる「そんなことないですよ」)
 ⑤軌道修正(話が脱線したら元に戻す)

3.「間」のある会話
(1)「間」がない会話は情報伝達だけの無味乾燥になる
 例:「18時新宿アルタ前。ご都合は?」「OK」
(2)楽しい会話はお互い途切れることがある(間があく)のが普通
(3)途切れなく一方的に話すことができても、相手には一方通行の情報が流れるだけ(相手にとって楽しい会話ではない)
(4)相手のことを考えている事で間があいても、それが相手に伝わっていれば問題ない
(5)「間」をつかむコツは(自分が思っている以上に)ゆっくり喋ること(例:子供への絵本読み聞かせ)
(6)(根拠がなくてもよいので)最初から自信を持った会話を始めること
 会話自体、相手の時間を奪う行為なので、自信のない会話は失礼にあたる

4.努力とは
(1)結果が出るのに時間がかかる場合がある(=結果が出るなら時間がかかっても良い)
(2)労力をかける前に必ず結果が出ることの事前確認が重要
 ①生クリームを使えば、泡立てると(時間はかかったとしても必ず)ホイップクリームになる
 ②牛乳を使ってしまうと、いくら泡立ててもホイップクリームにはならない
 →努力の対象を最初に間違えないよう冷静な分析が必要