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本業転換 山田 英夫・手嶋 友希(株式会社KADOKAWA)

本業転換――既存事業に縛られた会社に未来はあるか

本業転換――既存事業に縛られた会社に未来はあるか

 

1.衰退業界の競争戦略
(1)リーダーシップ
 シェアを獲得して業界のリーダーシップを握る
(2)拠点確保
 特定のセグメントでよいので、地位を築く
(3)刈り取り
 事業回収額を最大化しながら、売却/清算する
(4)即時撤退
 衰退期に入ったらすぐ(もしくは入る前に)売却

2.成功の条件
(1)Pointed(具体性)
(2)Effective(印象性)
 わかりやすい言葉(キーワード)を伝えると、相手も成功しやすい
(3)Practicable(現実性)

3.存続企業の共通項
(1)本業の需要が安定している時期に多角化を始めている
(2)主力事業で培った技術やノウハウが生き分野を中心に多角化を行っている

4.衰退企業の失敗要因
(1)コダック(When:新事業開始時期がNG)
 ①収益源をフィルムだけに依存
 ②フィルムの需要予測が甘かった
(2)シルバー精工(What:新事業選択、When:新事業開始時期共にNG)
 ①本業衰退に備えた次の事業を行うタイミングが遅過ぎた
 ②主力事業を縮小しただけ
(3)カネボウ(What:新事業選択がNG)
 ①短期間(5年)で3つの異分野に多角化
 ②本業と技術関連の薄い事業に進出
(4)山水電気(When:新事業開始時期がNG)
 ①需要予測が甘い
 ②販売拡張タイミングミス(オーディオ不況の少し前に販売拡大路線を打ち出した)
 ③新事業進出時期が遅すぎた

5.V字カーブ業界
(1)V字カーブ
 コストリーダーシップの大企業と集中戦略のニッチ企業だけが利益率が高まる
 →コンビニ業界はセブン-イレブン、北海道(ニッチ)ではセコマ
  中途半端なサークルKサンクスファミリーマートの傘下
(2)V字カーブの底(死の谷)からの脱出方法
 ①規模を大きくする(例:スターバックス
 ②事業を絞ってニッチ化する(例:デノン)

6.経営上の示唆(インプリメンテーション)
(1)新事業選択時の注意点
 ①遠そうで近いもの
  業種的に遠くても技術的には近いものを選択する(例:富士フィルムの化粧品・医療品、日清紡のブレーキ)
 ②近そうで遠いもの
  業種的に近くでも運営が全く異なる場合がある(例:コンチネンタル航空LCC進出、エーザイジェネリック会社設立)
(2)評価尺度の違い
 既存事業の尺度と異なる新事業だと運営がなじまない
(3)体内時計の違い
 既存事業の日常業務テンポ(意思決定スピード)が異なる新事業だと運営がなじまない