2013年以前のブックレビューも随時追加中

ぼく自身のためのジャズ 渡辺貞夫(日本図書センター)

渡辺貞夫―ぼく自身のためのジャズ (人間の記録)

渡辺貞夫―ぼく自身のためのジャズ (人間の記録)

  • 作者:渡辺 貞夫
  • 発売日: 2011/04/25
  • メディア: 単行本
 

1.クオリティの良い音と演奏
(1)いい音を出せば、演奏者本人がいい気持ちになり、演奏にも余裕が生まれ、リラックスできる
(2)リラックスして演奏すると、たっぷりと間を持たせた(スペースのある)演奏になり、リスナーも飽きない
(3)演奏がテクニカルで激しいだけだと、何を聴いても同じ演奏に聴こえ、リスナーもすぐに飽きてしまう(例:モードばかりやってたコルトレーン
(4)いいメンバだと同じ曲を何度もやっても飽きない
 同じ曲を同じように始めても、途中でハプニングが起こりうまく発展していくから
(5)最初から「○○風で」といった型にはまった演奏は、オリジナリティがなくなってしまう
(6)中途半端に「それらしきもの」を演奏して核になるものがないと、何をやろうとしているかわからない演奏になり、リスナーにも伝わらない

2.リズム・セクション
(1)リズムがよい(ドラム&ベースがよい)とソロイストのアドリブもゆったり演奏できる
(2)リズムセクションが悪い時のデメリット
 ①リズムが悪いと、ソロイスト側でもリズムを出したアドリブをしないとテンポがキープできない感じがしてきてしまい、演奏がせせこましくなる
 ②リズムが重くなったり、ハシッたりしないようにテンポキープした8分音符の連続で演奏を始めてしまい、それが逆に余裕のない演奏になる
 ③ソロの間をあけると全体のテンポがなくなってしまうのでないかと不安になり、たえず音を埋めたくなってしまう
(3)いいドラマーはスティックを振った1拍のバリューが違う(ゴルフでいうとインパクトがよい、パワーのあるボールが打てる)

3.バークリーのジャズ理論
(1)ハーブ・ポメロイが考えたライン・ライティング
(2)作曲法
 ①まず簡単なモチーフを作る
 ②①にコードをつける
 ③②を基にベーシックな複数のコードの流れを作る
 ④③に合ったモチーフを作る

4.アメリカと日本の違い
(1)アメリカのミュージシャン
 たとえ相手がマイルスデイビスであろうとおじけずに演奏する(劣等感や恥ずかしさを感じて演奏しない)
(2)日本のリスナー
 ①聴き方がおとなしく、画一的に統一されている(ジャズ喫茶なのに、先生の講義を聴いているような感じ)
 ②ジャズの聴き方をひとつしか知らない、聴いている幅が狭い
(3)日本のジャズ風な音楽
 チグハグで自然な流れがないため、簡単な譜面でも覚えにくく、演奏しても妙にミスる

5.作曲について
(1)よいメロディが2小節くらいできると、そのフレーズが持つタイプ、フィーリングで曲の性格が決まる
(2)最初にタイプを意識して書く場合、リズムをまず決める
 ①ピアノで一つの音程をポンポンと鳴らす
 ②音の長さを変化させたり、リズムをつけてみる
 ③②にモチーフをつけてみる
 ④③をストラクチャーしていく(全体で自然な流れを持つように)

6.よい演奏家
(1)練習するミュージシャンでなく、感じたままに演奏するミュージシャン
(ただし、イメージしたもの、表現したいものを演奏できる状態になっているのが前提)
(2)本番前にスケールを一度演奏だけして、本番でよい演奏するのが理想的