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テレビではいまだに言えない昭和・明治の「真実」 熊谷 充晃(遊タイム出版)

 

テレビではいまだに言えない 昭和・明治の「真実」

テレビではいまだに言えない 昭和・明治の「真実」

 

 1.日本陸軍兵士

(1)攻撃はワンパターン
 ①必ず前衛が突出して敵の進軍を防ごうとする
  →相手はわざと自陣に誘い込んでから火力、兵力で壊滅させればよい
 ②必ず攻撃前に熱心に偵察する
  →相手は偵察部隊を多く見るようになったら防御を固めればよい
(2)勇敢だったのでなく、窮鼠猫を噛む(パニック)状態だっただけ
 自分で考えることに慣れていなかったため、指揮官を失うと
 すぐに追い詰められ、散開して逃げたか無謀な攻撃をした
(3)一旦捕虜になり礼を尽くして食べ物を支給すれば、恩義に感じ、すぐに機密を話してしまう

2.戦闘機器
(1)零戦
 防御軽視でなく、射撃訓練をアメリカのようにマニュア化していなかったのが敗因
(2)戦艦(大和)
 本土近海用の決戦兵器として高性能だったが、使うタイミングがなかった
(3)潜水艦
 ①太平洋横断する程、遠洋航海できなかった
 ②独自設計で性能はよくなっていったが、活躍の場はなかった
(4)銃
 ①性能は良かったが、弾薬補給が乏しいため百発一中でなく一発必中をせざるを得なかった
 ②小銃、機関銃といった連発性能は求める事ができなかった

3.治安維持法
(1)天皇制(君主制)を維持するために社会主義共産主義を否定、弾圧してきた
(2)1922年日本共産党コミンテルン加盟、1925年日ソ国交回復(事実上の共産主義容認)と同時に交付

4.戦前、戦中の行政改革
(1)戦前より直接税中心(直間比率1対1に近い)
 ドイツは6割以上、フランスは7割以上が間接税だった
(2)固定資産税などの物税により地方税を一元化
(3)国民皆保険制度、農地改革小作人への奨励金で地主との格差是正)

5.軍隊組織
(1)年功序列、学歴重視のため、いくら増兵しても司令官(大将、中将)不足だった(理想的には兵士20万人につき大将1人)
(2)地方別師団による戦力バランスの欠乏
 ①第3師団(名古屋)、第23師団(熊本)は兵力消耗が激しかったが、
  補充対象はそれぞれ名古屋、熊本近郊の兵のみだった
 ②激戦区などへ外征しなかった近衛師団(東京)は兵力が余っていた

6.満州国
(1)化外の地
 万里の長城より北のため、中国にとっては文化の及ばない野蛮な土地だった
(2)資源なし
 寒冷のためコメ産地にならず、石油産出も乏しかった

7.赤紙
(1)ある日突然届く(新兵徴収)ものではなく、既に徴兵されたことがある者に届く
 平時の頃、あぶれて一般社会に戻された兵士を赤紙で呼び戻していた
(2)太平洋戦争時の徴兵率は6人に一人程度、死亡率は2割強程度
 当時の人口は約7138万人、陸海軍合計840万のうち174万死亡