2013年以前のブックレビューも随時追加中

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 伊藤 公一朗(光文社新書)

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

 

1.因果関係である事の確認方法(相関関係との違い)
(1)例:広告を打つと売上が伸びる(相関関係があるが、因果関係となっているかどうか確認が必要)
(2)3つの確認ポイント
 ①X(広告を打ったこと)がY(売上)にどんな影響を与えたか
 ②Y(売上が伸びたこと)がX(広告)にどんな影響を与えたか
 ③V(他の要因)がX(広告)とY(売上)にどんな影響を与えたか
(3)相関関係であるが因果関係とはなっていない事の確認方法
 例:電気をつけたまま子供を寝かせる(X)と近視(Y)になる
 ①X(電気をつけたまま子供を寝かせること)はY(近視)に影響与えていない
 ②Y(近視になること)がX(電気をつけたまま子供を寝かせること)にも影響を与えていない
 ③実は、V(親が近視であること)がX(親が近視なので電気をつけたまま子供を寝かせがち)とY(親からの遺伝で子供も近視が多い)共に影響を与えていた
 →今回の例では見つかったが、V(他の要因)を全て確認する事は、実際は難しい

2.RCT(Randomized Controlled Trial:ランダム化比較試験)
(1)因果関係を明らかにするデータ分析
 例:電力価格を上げると節電につながるか?
(2)介入効果
 例:2012年夏に電力価格を上げなかった時のAさんの消費量ー電力価格を上げた時の消費量(この差が介入効果)
 ①問題は、データを同時観測できないこと(2012年夏に価格を上げる/上げない何れかしかAさんは決定できない)
 ②医療分野(薬を投与する/しない)、広告(広告を打つ/打たない)も同じ
(3)介入グループと比較グループ
 ①介入したグループと介入しないグループ(=比較グループ)で統計を取り因果関係を見つける
  1個人では介入した時しか確認できないため
 ②介入グループと比較グループ何れも介入する前の平均消費量が同じである事がポイント
  ランダムに数多く振り分けること

2.RDデザイン(Regression Discontinuity Design:回帰不連続設計)
(1)境界線(での変化)をうまく使うデータ分析
 例:医療サービス自己負担が3割から1割に減少する70歳を境界として、外来患者が約10%上昇
(2)境界(70歳)を超えたとたん、傾向が不連続(外来患者が急に10%上昇)となっている
(3)対象主体(年齢)の詐称はできない事、かつ他の条件(就業率、収入など)で70歳を境に不連続な影響を与えていないかどうかの確認が必要

3.集積分析(Bunching Analysis)
(1)階段状の変化をうまく利用するデータ分析
 例:所得税率など、ある幅(年収300万まで10%、700万まで20%など)を持ってインセンティブが決まるもの
(2)RDデザインと違い、インセンティブにより対象主体(収入)自体がどう不連続に変化するかを分析する事が目的
例:年収300〜700万未満までを税率10%とすると、700万を越えないギリギリの地点での対象者の集積が発生

4.実践編
(1)消費税の税込価格を表示させると、税抜価格だけの場合より売上が平均8%下がる<スタンフォード大学と大手スーパーマーケットとのRCT>
 ちなみにこの時の消費税率もほぼ8%
(2)価格据え置き(1.0倍)で利用量がほぼ1億円だったものを価格1.5倍にすると、利用量が0.8億円となる<シカゴ大学とウーバーとのRCT>

新「ビジネス書」のトリセツ 水野 俊哉(カシオペア出版)

1.主なビジネス書出版社
(1)日経BP
 売上高385.6億(14年12月期)
(2)ダイヤモンド社
 売上高124億
(3)PHP
 松下幸之助が創立
 Peace and Happiness through Prosperity
(4)文響社
 2010年4月創業
(5)日本実業出版社
 1950年創業
(6)フォレスト出版
 平成8年創業
(7)ディスカヴァートゥエンティワン
 千場弓子が社長
 働く女性ビジネス出版社というイメージ
(8)きこ書房
 思考は現実化する(ナポレオン・ヒル
(9)サンマーク出版
 原因と結果の法則(ジェームズ・アレン)
(10)大和書房
 ユダヤ人大富豪の教え
(11)講談社
 年商1190億(14年11月期)
(12)KADOKAWA
 2014年角川ホールディングスがドゥワンゴと経営統合
 中経出版などもKADOKAWAに統一
(13)小学館
 集英社一ツ橋グループを形成
 新書も創刊しビジネス書にも進出
(14)幻冬舎
 発売元別だがヒット多い
(15)徳間書店
 一時は大映スタジオジブリも所有

2.ベストセラーの文章術
(1)極端(例:銀行強盗してでもお金が必要?、もしも会社が監獄だったら?)
(2)拡大、縮小(例:世界がもし100人の村だったら
(3)自分の得意なものに例える

3.ビジネス書のビジネスモデル
(1)本
 実売3万部×1500円×印税10%だと450万
(2)セミナー
 1回50万で12回やると600万
(3)商材(DVD、CD等)
 3万の商材×1000本×利益率50%で1500万
(4)会員制ML
 500円×1000人で50万/月
(5)雑誌執筆
 50万×12で600万

残念な人の働き方 山崎 将志(日経ビジネス人文庫)

残念な人の働き方 (日経ビジネス人文庫)

残念な人の働き方 (日経ビジネス人文庫)

 

1.会社組織とwant/must/should型
(1)事業家はwant型(こんなことがやりたい)
 塗り絵(の枠)自体、新しいのを考える人
(2)管理者はshould型(やるべきことをやる)
 事業家のアイデアからやるべきことを見つけ、オペレータに指示する
(3)オペレータはmust型(やらないといけないことをやる)
 ①want型から新しい仕事がきても、やらないといけない仕事が増えるだけ
 ②塗り絵の枠は決まっていて、塗るのがうまい人

2.会社組織で大きな意思決定できない理由
(1)会社組織が民主的(多数決)になり過ぎているから
(2)大きいことは適当に決まり、小さいことは精緻に決まる
 ①大きな決済権限のある人は忙しく時間がないため、Yes/Noは短時間に決まる
 ②小さな話は担当社員レベルが出てくるため、分厚い資料で長時間説明してもなかなか決まらない

3.非論理的な話の構成
(1)主語がない
 例:「ミスの原因は、間違ったボタンを押したから」
(2)「なぜ」と「なぜなら」がつながっていない
 例:「モチベーション低下の原因は、人事制度にある。ではなぜ遅刻が起きるのかというと。。」
(3)原因と対策の内容が合わない
 例:「モチベーション低下の原因は、人事制度にある。よって、対策は勤労システムの導入となる」
(4)原因ではなく「なぜ」の内容を言い換えているだけ
 例:「残業時間増加の原因は、全員が夜遅くまで働いているから」
(5)先に結論があり、その結論に合わせる形で原因を作り込んでいる
 例:「残業時間増加防止の対策は早帰りルール化である。なぜなら残業が多いのは早帰りルールがないからだ」

残念な人のお金の習慣 山崎 将志(青春出版社)

残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス)

残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス)

 

1.健康で文化的な最低限度の生活(日本国憲法第二十五条)
(1)最低生活費(生活保護法)
 単身で年間190万、3人(夫婦+児童)で年間288万<東京都内>
(2)民間企業平均年収手取り額(2009年度)
 単身(30歳独身)315万、3人(夫婦+児童)520万
 →最低生活費と比較すると、単身315-190=125万、夫婦520-288=232万の余剰がある

2.お金による幸福感
(1)世帯所得7万5000ドルまでは収入に比例して幸福感も増大(プリンストン大学
 7万5000ドル超えると幸福感も頭打ちとなる(日本円だと750万程度)

人生は四十代からの勉強で決まる 鷲田 小彌太(海竜社)

人生は四十代からの勉強で決まる

人生は四十代からの勉強で決まる

 

1.勉強法(野口悠紀雄)への反論
(1)面白いことを勉強する
 基礎を蓄積し、熟達してこないと面白くならない
(2)全体から理解する
 最初から全体的把握(あるいは職人的な勘所)がわかる人はいない
(3)基礎8割やったら応用に進む
 基礎80%もやる前に挫折してしまう人が多い
(4)(1)〜(3)の解決法は、最初は習慣化するまで基礎を強制してやるしかない(例:学校)

2.継続と成功
 小さな努力の継続(succession)が成功(success)(=大きな成果)を生む

3.勉強法
(1)1つの事を肯定的・保守的なやり方と否定的・変革的なやり方同時に進める
 賛成/反対、良い/悪いといった単純な結論は出なくなる(より深く考えた結論が出る)
(2)勉強するうち(自分でも知らなかった)自分自身の知的な能力が見つかると面白くなる