2013年以前のブックレビューも随時追加中

小飼弾の「仕組み」進化論 小飼 弾(日本実業出版社)

 

小飼弾の 「仕組み」進化論

小飼弾の 「仕組み」進化論

 

1.仕組み作りの20%ルール
(1)既にある仕組みを使う仕事(レッドオーシャン)は20%でこなす
(2)残り80%を新たな仕組み作り(ブルーオーシャン)を考える時間に当てる

2.安全性を確保する仕組み
(1)働く時にのみ確実に動き、不要な時は動かない
 ①エアバッグは急ブレーキの時のみ作動すべきのため、通常ブレーキと急ブレーキのしきい値テストが重要)
 ②サーバルームにパトライトを付けたが、トラブルといえないささいな状況でも点灯するのは本末転倒 
(2)わざと壊れる
 ①想定外のインプットに対し、処理自体シャットダウンさせる(続けることによる被害拡大を防ぐ)
 ②一定以上の電流が流れたら電流自体を止めてしまう(ヒューズやブレーカー)(過電流断で本体回路は守る)
 ③インターネットの中庭(DMZ)を作り、NW侵入被害を局所化
(3)自動化
 バックアップのような必要だが面倒な作業は自動化する

3.会社、組織が生き残るための仕組み(生物の仕組み)
(1)個体、細胞単位では最適化させない(非効率なシステム)
 ①何万個も卵を生む、腸の上皮にある膨大な細胞を使い捨て(数日で入替)
 ②人間の受精卵は、魚類、両生類、爬虫類に似た形態を取り、最後に人間の形を作って生まれてくる
(2)一度作った仕組みは(たとえ失敗でも、使わなくなっても)捨てない
 ①T型フォードは最適化し過ぎた(単一車種の大量生産)ため、環境の変化に対応できなかった
 ②間違った記録(いつどのように間違ったか)も残しておけば、後のトラブル対応に役立つ
(3)できることだけ行い、できないことは無視する
 ①DNAに対し、やってくるRNAの塩基は全くバラバラ(アトランダム)だが、決まった相手としか反応しない
  →例:G(グアニン)はC(シトニン)のみキャッチする
 ②突然変異(健康な人でも癌細胞1000万個)は免疫系が除去する

4.グーグルが作った仕組み
(1)仕組みを残すための仕組み(情報蓄積)そのものを不要化させた
(2)情報検索エンジンの提供により、利用者は情報分類整理が不要となった
(3)言語化できない技術(職人の技)を残す仕組みはできていない
産業ロボットなどで一部実現
(4)検索エンジンに合わせた記録方法が必要になる
検索しやすいキーワード、タイトルをいくつも埋め込む(内容をまとめ過ぎると検索できなくなる)

5.遺伝子(gene)と意伝子(meme)
(1)遺伝子(gene)
 ①親から子しか伝わらない
 ②遺伝が良いものか悪いものかは、その後の個体環境でしか判明しない
(2)意伝子(meme)
 ①血の繋がらない他人同士でも情報伝達できる
 ②遺伝子より伝達速度が早い(遺伝子はせいぜい80年の一生のうち2〜3人)

6.創発的な仕組みの作り方
(1)遠くを見過ぎない
 今できること、今いる場所(自分にしか見えないもの)を最大限に活かす
(2)仕掛品を事前に作って準備しておく
 ①あと1ピースで完成という所まで考え抜いておく
 ②最後のチャンス(1ピース)が来た時、すぐに行動&実現できる

7.生産効率とリソース効率
(1)生産効率重視(従来型)
 ①モノを大量生産するには、少人数で多く働かせたほうが高効率
 ②少人数で生産できてしまうと、働かない(働けない)人が増える
 ③働かない(働けない)人は低賃金もしくは非雇用となるため、生産したモノを購買(消費)できなくなる
 ④モノの供給過剰、過多となる
(2)リソース効率重視
 ①現状あるリソース(ヒト、モノ)を最大限活かすやり方を考える(例:ワークシェアリング
 ②全員が働く仕組みとすれば、少数で行うより生産性はダウンするが、生産したモノを全員で消費することができる

8.多様性と集合知(働かないアリの効用)
(1)集団に働かないアリが2割いる
(2)働かないアリはエサを集める、運ぶという通常の仕事はヘタ(非効率要員)
(3)働かないアリは、働きアリが行動しない場所をウロウロするため、働きアリが見つけられない新しいエサ場所を発見しやすい

9.PJ型企業
 書籍や映画製作ではフリーランスがグルーピング(例:○○製作委員会)され、作品完成すると解散する形が増加