人生を面白くする本物の教養 出口 治明(幻冬舎新書)
1.中国の歴史(4000年)と日本の平和
(1)平和だった時代は4回で全て合わせても200年足らずしかない
①前漢の文景の治(紀元前180〜141)
②唐の貞観の治(627〜649)と開元の治(713〜741)
③清(1661〜1735)
(2)日本が戦後70年間平和だったのは中国の歴史と比較すると奇跡的
2.日本の国家予算(2015年度)
(1)歳出(約96兆円)
①社会保障関係費(約32兆円)
②公共事業費(約6兆円)
③文教費(5兆円強)
④防衛費(5兆円弱)
⑤その他(約10兆円)
⑥地方交付税交付金等(約16兆円)
⑦国債の償還・利払い(約23兆円)
(2)税収(約55兆円)
①歳出との差分の約41兆円は今後増税、国債発行で埋めないといけない
②社会保障関係費は高齢化に伴い、毎年1〜2兆円ずつ増えている
3.新聞の有用性
(1)速報性ではインターネットには敵わない
(2)直感的な価値の一覧性(世の中では何が重要で何に勝ちがあるか総括できる)がある
4.財産三分法
(1)手持ちの現金、(なくなっても困らない分だけ)投資、残りは貯金
(2)手取り年収の半年〜1年分は貯金するのが、グローバル基準
5.年間労働時間
(1)1日24時間、365日で8760時間のうち、日本の年間労働時間は2000時間程度
→つまり2000/8760のおよそ2割強しかない
(2)年間平均労働時間(2012 OECD)
①ネーデルラント1381時間
②ドイツ1397時間
③ノルウェー1420時間
④フランス1479時間
⑤日本1745時間(非正規労働者増加分が反映されている?)
6.公的年金改革
(1)非正規雇用労働者への厚生年金適用拡大
(2)現行の労働時間(週30時間以上の労働者)でなく成果(例:月収6万以上)を適用条件とする
7.フランスの少子化対策(シラク三原則)
(1)女性が産みたい時が経済力がある時とは限らない
子供を産んだ時の経済的負担は国が負担する
(2)子供を産んだ働く女性の環境整備
①産んでから1年間の育児休暇中の給与全額保証
②最長3年間育児休業後、元の職場へ同じ役職で復帰を保証
(3)10年間で出生率1.6から2.0超へ復帰
8.日本の住宅政策(ある友人のコメント)
(1)人口減少で空き家も増えて困るなら、空き家リフォームにこそ税制優遇がよい
(2)未だに新築住宅取得者に税制優遇しているのは理解できない
9.わが国固有の領土(ヨーロッパでは意識が薄い)
(1)日本
島国で外敵襲来もあまりないため「歴史的に我が国固有の領土」という意識が強い
(2)ドイツ
近代はプロイセン発祥だが、当時の首都は現在ロシア領、他の地域も現在はポーランド領
(3)トルコ
発祥の地はモンゴル高原だが、トルコ人は誰もモンゴル高原を父祖からの固有の領土とは呼ばない)
10.愛国心とナショナリズム
(1)愛国心
生まれ育った国に愛着を抱く心、生まれた場所を守っていきたいという防御的心理
(2)ナショナリズム
①劣等感と不義の関係を結んだ愛国心
②他者(他国)に対し、攻撃的になる心理
11.エネルギーと原発
(1)新興国、途上国の今後の需要増大分を確保するには再生可能エネルギーだけでは現状無理
(2)原発の課題
①止める、冷やす、閉じ込めるの3つワンセットでマネジメント
②閉じ込める=廃棄(10万年以上)
→フィンランドのオンカロ