(日本人) 橘 玲(幻冬舎)
1.タイ
(1)ほほえみ(イム)の国:13種類ある
(2)空気を読む(グレンチャイ):遠慮、気遣いの意味
①ただし、中間領域の人にのみ気配りは行う
②最も近い家族や逆に最も遠い他人にはどちらも気配りはしない(例:公共道路では、他人同士なので、交通ルールを守ろうとしない)
(3)出世する人:優柔不断な人
他人との関係を最も大事にするため、誰とでも妥協ができる能力(=優柔不断)が最も重要
(4)契約、批判:タイ語には存在しない
(5)15〜19世紀まで全国民の地位が細かくデータ化されていた
2.西洋と東洋
(1)西洋では個人、論理重視
世の中を曖昧性のない名詞で考える(全て物、個として分類する)
(2)東洋では集団、人間関係重視
世の中を動詞で考える(全て出来事として関係性で分類する)
3.日本人の特徴
(1)国のために戦う気なし
(2)日本人としての誇りなし
(3)権力、権威を異常に嫌う
(4)強烈な世俗性(行動原理であるエトスが損得勘定)
(5)今が楽しければ良い
(6)空気(=世間)と水(=世俗)
①空気(世間体)
世俗性の高い日本人をムラ社会の共同体で維持させるためのシステムが空気
②水(世俗)
日本人が元々持っている徹底した個人主義(損得で考える行動原理)
4.自由貿易(分業)の原理
(1)比較優位の交換
①A君がXの仕事能力100、Yの仕事能力50あったとしても、BさんがXの仕事能力1、Yの仕事能力25なら、
A君はX専任、BさんはY専任と分業した方がよい
②A君だけで仕事する場合、生産性(100×1/2+50×1/2=)75なのにA君とBさんが分業した場合、生産性(100×1+25×1=)125とアップ
③Yの仕事をA→Bに交換(分業)する事で、Aの出来高(75→100)、Bの出来高(0→25)共にアップ
5.福祉国家の福祉制度
あくまで主権を持った国家(国境)の範囲内での国民にのみ与えられる差別的な権利
6.古代ギリシャがデモクラシー(全員一致でなく多数決)を獲得した理由
(1)地中海の地形、気候から農耕意外の遊牧、海運等、様々な民族が共生していたため
(2)農耕社会と異なり、全員一致でないため、イヤなら(ポリスから)退出可能な社会
7.チンパンジーの3つの正義(ルール)とフランス革命
(1)所有権(自由)のルール
たとえ最も弱いサルでも、最初にエサをもらったサルが、そのエサの所有権を得る
(2)公平(平等)のルール
①互いに同じエサ(例:キュウリ)をもらったサルはケンカしない
②良いエサ(例:バナナ)を特定のサルにのみ与えると、もらえないサルは怒り出す
③公平のルールより階級のルールの方が優先される
→序列同等のサル同士のみ、公平さを要求するが、序列が異なるとケンカしない(=エサ格差があっても諦める)
(3)階級(群れの秩序形成)のルール
①序列形成の初期段階では互いに戦うが、そのうち群れの中で序列が生まれる
②群れ=共同体であり、共同体内の仲間を守る心=友愛が生まれる
③群れの仲間になるにはまず(1)、(2)を守る事が前提
(4)フランス革命で勝ち得た自由、平等、友愛の3つの正義をチンパンジーも得ている事になる
8.マイケル・サンデルの正義
(1)リベラリズム(リベラリスト)とリバラリアニズム(リバタリアン)
①リベラリスト
自由重視(=あらゆる差別反対)だが、結果不平等なのも反対の立場、国家権力(=富の再分配)必要の立場
②リバタリアン
自由重視(=あらゆる差別反対)で、結果不平等なのも賛成(しょうがない)のため、国家権力反対の立場
(2)コミュニタリアニズム
個人より共同体のルール(文化、伝統)重視
9.リベラルデモクラシー
(1)世界中の人はすべて同じ人権を持つのが良いとする立場
(2)法律を犯さない限り、自己責任の範囲で人は自由に生きることを保障される
(3)国家でなく市民が憲法を作り、国家戦力を統制するべき
10.日本の戦国時代から中世以降(秀吉まで)
(1)合戦は冬が多かった
農閑期の冬に食べる物がなくなるため(農民は冬に戦をする事で、食べ物を得ていた)
(2)ムラから逃げ出す農民を監視する仕組みができた
①五人組、隣組で相互監視させていた
②相互扶助(互いに助け合う)システムも同時に生まれた