悔いのない人生 齋藤 孝(SB新書)
悔いのない人生 死に方から生き方を学ぶ「死生学」 (SB新書)
- 作者: 齋藤孝
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/12/05
- メディア: 新書
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1.自殺とは実存主義にある被投的投企の究極の姿
(1)被投的(人は皆、自ら選んで生まれてきたわけでなく、突然この世に放り出された存在)
(2)投企(自分の意志で何をするか主体的に行動選択できる)
2.メメント・モリと禅の死生観の違い
(1)メメント・モリは死を想え(死を意識して今を生きる)
(2)前の死生観は今この現在をかけがえのないものとして生きること(死を意識していない)
(3)今この瞬間はこれまでの過去の積み重ねで起きていて、その連鎖は永遠に続いていく(ニーチェ)
→今この瞬間が肯定できるのならば、過去の人生全てを肯定してよい
3.呼吸と死
(1)7つ呼吸するうちに覚悟を決めること(葉隠)
(2)アナパーナサチ(釈尊の呼吸法)で息をゆっくり、長く緩く吐く事で悟りが得られる
(3)一回一回の呼吸で邪念を吐く(古く汚れた気を出す)と無(=死)を意識できる
→息を吐ききって止まった瞬間に「無」が訪れる
4.養生と元気
(1)養生(生を養う)とは、生きている時間の命を上手に過ごす(養う)こと
(2)人生を生と死の二項対立で考えない(無理せずほどほどにやりくりして命を養う)
(3)元気とは、心身二元論(心と身体を分けて考える)で考えず、両方一体で考えて活力がみなぎっている状態
→「気」とは心と身体を繋いているもの
5.内欲と外邪
(1)内欲
飲食、好色、眠り、言いたい放題+七情(喜、怒、憂、思、悲、恐、驚)という欲望
(2)外邪
外からやって来る風、寒さ、暑さ、湿りという邪気
→内欲を慎めば、外邪を跳ね除けやすくなる
6.三楽
(1)孟子:一家の無事息災、心にやましいことなし、教育(才能を育てる)
(2)列子:人間として生まれ、男子として生まれ、長生きする
(3)貝原益軒:善を楽しみ、健康、長生き
7.悟り(正岡子規)
(1)いかなるときも平気で生きること
(2)死ぬこと自体は、誰でも訪れることであり、大した問題ではない
8.究極の自己防衛(フランクル)
(1)無感動により感情を鈍化させ、精神を自己防衛する
自分や周りにどんな虐待、悲劇があってもぼんやりとした状態で対応して精神を保つ
(2)目立たない行動を取る
集団の中に自分の存在を消す事で、監視の目から逃れる
9.究極の希望(未来に向けて行動すること)
(1)人生の意味を考えてはいけない
(2)今生きている事実(=人生)そのものが自分に何かを質問している(期待されている)のだと解釈すること
(3)常に人生そのものに自分が問われていると考えれば、未来に向けて何か行動せざるを得なくなる
10.プロテスタントと資本主義(マックス・ウェーバー)
プロテスタントは職業を神から与えられた天職(ベルーフ)と考え、
真面目に働き、無駄遣いしないことを良しとしたため、資本主義が発展した
11.心と精神
(1)心は一人ひとり持っており、移ろいやすい
(2)精神は、人々の間で共有でき、何年たってもブレないもの