スマホは人気で買うな! 吉本 佳生(日経プレミアシリーズ)
1.お徳用サイズと通常サイズの調味料、どちらがお得?
普通はお徳用サイズが割安だが、最近は通常サイズがよく売れるため、お徳用サイズが割高という事もある
→世帯あたりの人数減少、調味料多様化、外食、惣菜購入が増え、自炊回数、利用量減少などが原因
2.飲食店のテイクアウトとイートイン、理想価格は?
(1)混雑時はテイクアウトを安く、閑散時はイートインを安くする
(2)混雑時:袋詰めコストがかかってもテイクアウト薄利多売で儲ける
(3)閑散時:袋詰めコストが大きいなら、イートイン薄利多売で儲ける
3.食べ物はいつ買うのが良いか?
(1)旬の初めを過ぎた頃
(2)旬の初めは高価格だが、それを過ぎれば価格も落ち着き、かつ味も良いため
高いから必ず美味しいという思い込みは禁物
(3)缶ビールが大きい方が小さいものより安い場合は?
大きくても製造年月日が古い時があるため、鮮度が重要な品物の価格には要注意
4.無料サービスには対価が2種類
(1)顧客情報と評判、評価
(2)無料の代わりに自分の個人情報流出には注意
(3)お試しサービスでアンケート評価するだけ(個人情報開示なし)かどうか確認が必要
5.規模と経済性(生産性)
(1)通常の工業製品は消費が増えれば、規模を大きくして生産性を増す事で、価格を下げられる(1個当たりのコストダウン)
急に消費が冷え込むと、赤字でも低価格で売らざるをえない(デフレ)
(2)人気のあるスマホ(レストラン)が良いとは限らない
利用者が増えると通信品質が劣化(店内が混雑)する可能性が高くなる
(3)シネコンはどうやって儲けている?
①一人あたりの価格(鑑賞料)は一定だが、座席数の異なる映画館と上映回数を組み合わせ最適化
②客が減ったら、座席数少ない映画館で上映回数減らし、客が増えたら、座席数多い映画館で上映回数増やす(稼働率最優先)
③通常、上映開始時からだんだんと客は減るため、サービスの質(スクリーンの大きさ)はだんだん下がることになる
→いつ行っても映画館が混んでいるなら、どうせなら上映開始時の大スクリーンで観ようと客に思わせる事ができる
(4)石油精製管理とガソリン価格
①原油精製だけで見ると、ガソリン、軽油など複数成分を一度に精製するのが効率的
②ガソリン、軽油が同じタイミングで増減産されるため、どちらか余剰による値崩れが起きやすい
6.価格差別
(1)高くても買う客には出来る限り高く売りつける、安くないと買わない客には利益確保した上で、ギリギリまで安くして売る戦略
①需要の価格弾力性の見極めが重要(価格を10%上げても需要が5%しか減らないならOK、価格を10%下げても需要が20%増えるならOK)
②価格差別の天敵は「転売」(例:女性限定割引商品を女性代行により男性に購入されると差別化は失敗)
(2)グループ別価格差別
①地域(例:東京は他の地方より高くする)別
②ファン層別(例:CDアルバムボックスセット売り)
あまりファンでないアルバムを持ってない人は、格安で購入できる
熱烈なファンならボックスセット特典(あるいは持っていないアルバム1枚)だけのためでも、同じ値段で購入する
③販売後の経過時間
販売直後は価格が最も高い(高くても欲しい人はすぐ購入する)
時間が経つ(オフシーズンなど)と安くして売る(あとから買う人は安くないと買わないため)
(3)自己選択型価格差別
①条件(例:期限付きクーポンを配布し、クーポン券提示顧客のみ割引)で価格差別販売する
②手間や時間を惜しむ人には、割引なしで高く売りつける事に成功する
(4)なぜレディースデイ割引があるか?
①日本の女性の平均賃金は男性より約3割低い
②男性より低所得である女性には、安くしてでも販売した方がよいため
7.独占的競争
(1)量販店や通販などで通常の製品を○○オリジナルモデルとして独自変更して販売する理由
消費者が他店との価格比較をやりにくくするため
(2)低価格競争に国が介入する場合もあり
チューハイがジュースより安くなった時、未成年が買いやすくなったとみなし、国税庁が値上げを指導
(3)新製品に合わせた値上げ
①プリンター(年賀状印刷)や電気カーペットは季節に合わせ毎年新製品販売で旧製品より値上げ可能
②オールシーズン家電のエアコンは新製品でも値上げしにくい
8.価格戦略の応用
(1)2つの組み合わせ
主力商品を値上げしつつ、期間限定、顧客限定の割引も行う(TDRやマクドナルド)
(2)ネットショッピング向け戦略
①まずは高級、高価格中心がよい
②年収300万未満でネットショッピング利用率1割未満
③年収1000万以上でネットショッピング利用率4割未満