仕事に役立つ統計学の教え 斎藤 広達(日経BP社)
1.リアルオプションと「時は金なり」
(1)テストケース:新規事業に20億円投資し、50%の確率で100億に事業化できると仮定した場合
→100億×0.5−20=30億の収益(ただし、50%の確率で0になるためリスキー)
(2)テストケースに対し、1年間ウエイトオプションを選択して、成功確率を高めつつ収益を確保させる方法
①いきなり20億円投資するのでなく、1年間トライアルテストで1億円だけ投資する
②テスト期間中に先行企業に先を越させて、市場が立ち上がるのを見極める(成功確率50%→80%まで高める)
③後発になるため、事業規模は100億から60億に縮小
④テスト完了後に19億追加投資
→60億×0.8-20=28億の収益(しかも、80%の成功確率)
2.数字、伝え方のマジック
(1)99%(残り1%)は意外と多い
偏差値だと73以上(平均身長170cmで標準偏差6cmなら184cm以上の人)
(2)オープンカー効果
実際よりも楽観的に考えてしまう傾向
(1年のうちオープンカーで走って気持ち良い日は60日程度だが、買う人はもっと多いと考えてしまう)
(3)確認バイアス
一度悪い所に目がつくと、そこばかりが目についてしまう(坊主憎けりゃ袈裟まで憎い)
(4)レゴ効果
時間と労力をかける程、特別なものに見えてしまう
(時間をかけて作った資料でプレゼンすれば、必ず成功すると思ってしまう)
3.成功確率を高める
(1)サンクコスト
既に過ぎ去った時間(サンクコスト)に囚われて、将来の判断を見失ってはいけない
(例:バス待ちで20分も待ったのだから、バスが来るまで意地でも待とうと思ってしまう)
(2)リソースアービトラージ
今持っている強み(キーリソース)から戦略を作る
お互いの所有物の不均衡を利用して取引する(物々交換もアービトラージの一種)